【完全版】特定技能「建設」の受け入れ方法【要件や雇い方】

この記事では、「建設業界」での外国人雇用(特定技能)について解説しています。
特定技能の在留資格で就労可能な建設業の業務内容や、建設業独自の受入れ機関(特定技能所属機関)の要件などを掲載しています。
また、外国人本人の要件(1号・2号)についても解説しています。

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特定技能「建設業」分野で就労可能な職種(業務内容)

特定技能の在留資格で従事できる職種(業務内容)は以下の通りです。

①:型枠施工(業務内容の詳細

②:左官(業務内容の詳細

③:コンクリート圧送(業務内容の詳細

④:トンネル推進工(業務内容の詳細

⑤:建設機械施工(業務内容の詳細

⑥:土工(業務内容の詳細

⑦:屋根ふき(業務内容の詳細

⑧:電気通信(業務内容の詳細

⑨:鉄筋施工(業務内容の詳細

⑩:鉄筋継手(業務内容の詳細

⑪:内装仕上げ(業務内容の詳細

 

特定技能の在留資格で就労できる建設業の業務内容は上記の11業務に分かれます。11業務ごとに技能試験が分かれており、11種類の技能試験があります。
技能試験とは、特定技能の在留資格を取得する為の要件の1つで、外国人本人が合格する必要があります。

つまり、「型枠施工」の業務を行いたい場合は、型枠施工の技能試験に合格する必要があります。

また、型枠施工の技能試験を合格して特定技能の在留資格を取得した場合、その外国人の主業務は型枠施工にしなければいけません。
※関連業務を行うことはOKですが、関連業務のみを行うことはNGです。

 

型枠施工を例にした業務内容

主な業務内容
①基準墨出し、型枠組立用墨出し、躯体・仕上げ用墨出し
②型枠下ごしらえ・加工、型枠パネル製作
③特殊型枠、PC 型枠製作
④型枠・型枠パネル組立て、特殊型枠・鋼製型枠等組立て、PC 版取付、鋼製デッキ等取付
⑤型枠用足場・支保工足場組立て
⑥型枠締付け・固定、型枠支保工設置
⑦コンクリート打設合番
⑧型枠・型枠パネル解体、特殊型枠・鋼製型枠等解体
⑨型枠支保工解体、型枠用足場・支保工足場解体

想定される関連業務
①型枠数量積算
②躯体図(コンクリート図)、型枠施工計画図、型枠支保工計画図、型枠支保工計算書類等作成・読図
③型枠加工図、加工帳作成・読図
④型枠資機材積算、発注
⑤鉄骨建方・構造用集成材建方精度管理
⑥資機材整理、小運搬、資機材楊重
⑦資機材運搬、不要材運搬
⑧その他、型枠施工業務の実施に必要となる安全衛生作業(点検、整理整頓、清掃等)

特定技能で「日本」にいる外国人を雇用する流れを解説

特定技能で「海外」にいる外国人を雇用する流れを解説

【建設業】特定技能1号の本人要件

建設業で特定技能1号の在留資格を取得するためには、外国人本人が以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

建設分野に関する2号技能実習を修了する

2号技能実習を良好に修了している者で、かつ、修了している技能実習において修得した技能が,従事しようとする業務におい て要する技能と関連性が認められる場合は、下記の技能試験と日本語試験が免除されます。

技能試験と日本語試験に合格する

技能試験と日本語試験に合格することで特定技能1号の取得要件となります。

技能試験

建設分野の技能試験を「建設分野特定技能1号 評価試験」といい、この試験に合格する必要があります。(詳細は「建設業の技能試験を解説!」をご覧ください。)

「建設分野特定技能1号 評価試験」ではなく、「技能検定3級」 の合格でも特定技能の取得要件となりますが、業務内容によっては「技能検定3級」の試験がない業務もあります。(例:型枠施工はありますが、コンクリート圧送業務には技能検定3級はありません)
※ない場合は「建設分野特定技能1号 評価試験」の合格が必要
技能検定3級を解説した記事

日本語試験

日本語試験については、「国際交流基金日本語基礎テスト」か「日本語能力試験(N4以上)」が特定技能1号の取得要件となります。(詳細は「日本語試験を解説!」をご覧ください。)

【建設業】特定技能2号の本人要件

建設業で特定技能2号の在留資格を取得するためには、外国人本人が以下の①と②の両方の要件を満たす必要があります。

①「建設分野特定技能2号 評価試験 」か「技能検定1級 」の合格
※「技能検定1級」については、トンネル推進工など実施していない業務内容もあります。

②実務経験(建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し,工程を管理する者(班長)としての実務経験を要件とする。 )
※建設キャリアアップシステムの能力評価におけるレベル3(職長レベルの建設技能者)が想定されています。

特定技能「建設業」分野での特有の要件(受入機関)

特定技能で外国人を効用する受入れ企業(特定技能所属機関)には、2種類の基準があります。
全業種共通の基準(省令)
②業種別の基準(告示)

建設業界の受入れ企業は、①の共通の基準に加え、②の業種別の基準に該当する必要があります。

②の業種別(建設業)の基準とは、次のいずれにも該当する必要があります。

(1):「建設特定技能受入計画」について,その内容が適当である旨の国土交通大臣の認定を受けていること。
※「建設特定技能受入計画」とは、1号特定技能外国人の受入れに関する計画のことです。

(2):認定を受けた建設特定技能受入計画を適正に実施し,国土交通大臣又は「適正就労監理機関」に確認を受けること。

(3):国土交通省が行う調査又は指導に対し,必要な協力を行うこと。

特定技能「建設業」分野は人数枠があります

建設分野では、1号特定技能外国人の総数と外国人建設就労者の総数の合計が、受入機関の常勤の職員の総数を超えてはいけません。

建築特定技能受入計画の認定

建築特定技能受入計画の認定申請をする受入れ企業は、受入れ計画に次の事項を記載して国土交通大臣に提出する必要があります。

①受入れ企業に関する事項

②国内人材確保の取組に関する事項

③1号特定技能外国人の適正な就労環境の確保に関する事項

④1号特定技能外国人の安全衛生教育及び技能の習得に関する事項

計画認定の要件など、受入計画の詳しく解説した記事

 

建設特定技能受入計画の認定をもらう要件の中に、
①受入れ企業が建設「キャリアアップシステム」に登録していること
「特定技能外国人受入事業実施法人」に所属し、行動規範を遵守すること。
このような要件があります。

次からは、この「キャリアアップシステム」と「特定技能外国人受入事業実施法人」について解説していきます。

キャリアアップシステムとは

「建設キャリアアップシステム」は、技能者(建設業界で働く人)の①資格②社会保険の加入状況③現場の就業履歴等を建設業界全体で登録・蓄積する仕組みです。

目的は、システム活用により、技能者の処遇改善(能力や環境に応じた処遇を受けられる環境を整備)を行い、将来にわたって建設業界の担い手を確保することです。

特定技能外国人を雇用する企業の要件の1つで、キャリアアップシステムの登録が義務付けられています。

建設キャリアアップシステムHP

キャリアアップシステム

特定技能外国人受入事業実施法人とは

「特定技能外国人受入事業実施法人」とは、建設分野における特定技能外国人の適正かつ円滑な受入れを実現するための取組を実施する営利を目的としない法人です。

特定技能外国人を雇用する企業等に所属することを義務付け、特定技能で働く外国人の保護(低賃金や社会保険未加入などの企業を排除)や、外国人の保護をとおして建設業界においての優秀な外国人材の確保などを目的としています。

「特定技能外国人受入事業実施法人」が行う取組

  1. 特定技能外国人の適正かつ円滑な受入れの実現に向けて構成員が遵守すべき行動規範の策定及び適正な運用
  2. 建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針で定めるすべての試験区分についての建設分野特定技能評価試験の実施
  3. 特定技能外国人に対する講習,訓練又は研修の実施,就職のあっせんその他の特定技能外国人の雇用の機会の確保を図るために必要な取組
  4. 特定技能所属機関が認定受入計画に従って適正な受入れを行うことを確保するための取組

建設業の協議会と特定技能外国人受入事業実施法人を解説!

特定技能所属機関が行う手続き|建設業の特定技能

建設業界で特定技能外国人を受入れる企業が行う手続きの流れです。

まとめ

いかがでしたか。
建設業は、特定技能で外国人を雇用できる他の業種と比べると手続きが複雑です。
この記事を制度の全体像の理解にお役立ていただければ幸いです。

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