特定技能の流れ「日本にいる外国人」を受け入れ・雇用するには?

特定技能で日本にいる外国人を雇用

特定技能の在留資格で外国人を雇用する場合、海外にいる外国人を雇用するケースと日本にいる外国人(留学生や技能実習生)を雇用するケースに分かれます。
ここでは、日本にいる外国人を雇用する流れ(受け入れ流れ)を分かり易く解説します。

 

こまかい解説の前に、まずは雇用までの全体像を把握していきましょう。

  1. 外国人の支援体制を整える
  2. 業種別の「協議会」に加入する
  3. 特定技能で雇用できる国内にいる外国人を探す
  4. 採用が決定したら「特定技能雇用契約」を外国人と締結
  5. 1号特定技能外国人支援計画」を作成する
  6. 外国人の現在の在留資格から特定技能へ変更する。

それでは、上記の1~6を順番に解説していきます。

自分で申請する流れが分かる!
特定技能申請マニュアル

特定技能の申請手順に沿った内容で、初めてでも申請ができる超実践的なマニュアルです。

登録支援機関/人材紹介会社/自社で申請する企業向けのマニュアルです。

外国人の支援体制を整える

特定技能1号の在留資格で外国人を雇用する企業は、外国人が日本に在留中に「安定的・円滑な活動を行うことができるようにするため」に、外国人を支援する必要があります。この支援は、企業自身で行うか、登録支援機関という機関に委託して行います。

具体的な外国人への支援内容

①在留資格変更前の外国人への情報提供
 ・外国人と企業との雇用契約の内容
 ・外国人が日本で行える活動内容
 ・その他、外国人が日本に在留するに当たっての注意事項など
②外国人が出入国する際の送り迎え
③生活に必要な契約の支援
 ・外国人の住居の確保に係る支援
 ・外国人の銀行口座開設の支援
 ・携帯電話を契約する際の支援など
④在留中の外国人への情報提供
 ・日本で生活するに当たっての一般的な情報
 ・外国人がする必要がある届出や手続きの説明
 ・外国人からの相談・苦情などの連絡先
 ・外国人が医療を受けられる病院等の情報(外国人が十分理解できる言語で説明)
 ・防災・防犯に必要な知識、急病などの緊急時の対応に必要な知識
 ・労働法違反や入管法違反があった場合の外国人の法的保護に関する情報
⑤生活に必要な日本語の学習をする機会の提供
⑥外国人からの相談・苦情への適切な対応
⑦外国人と日本人との交流の促進を支援すること
⑧非自発的離職時の転職を支援すること
⑨当該外国人とその監督をする立場にある者との定期的な面談、労働法令違反などがあった場合の労働基準監督署などへの通報

業種別の「協議会」に加入する

特定技能で外国人を雇用する企業は、業種ごとに設置される「協議会」に加入することが義務付けられています。
要するに、特定技能制度が円滑に進んでいくよう、建設業界・介護業界・宿泊業界などの業界ごとに連携しようということです。

協議会の活動内容
  • 特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
  • 特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
  • 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
  • 地域別の人手不足の状況の把握・分析
  • 人手不足状況,受入れ状況等を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(特定地域への過度な集中が認められる場合の構成員に対する必要な要請等を含む)
  • 受入れの円滑かつ適正な実施のために必要なその他の情報・課題等の共有・協議等等

特定技能で雇用できる外国人の求人方法

まず、国内にいる外国人で特定技能の在留資格を取得できるのは、「18歳以上」という条件があります。

「18歳以上」の条件に加えて①技能試験と日本語試験の合格者②技能実習2号を修了したのどちらかの条件が必要です。

日本に在留している外国人はなんらかの在留資格を持っています。
では、どんな在留資格を持っている外国人が特定技能の在留資格で働くことができるのでしょうか?
以下のようなケースが考えられます。

ケース①:留学生

日本語学校などを卒業した留学生などは「技能試験と日本語試験」に合格すれば、特定技能の在留資格に資格変更をして働くことが可能です。
(ただし、退学や除籍処分となった者は除きます)

ケース②:技能実習生

技能実習2号を修了した外国人(在留中)は、特定技能の在留資格に資格変更をして働くことが可能です。※技能試験と日本語試験は免除されます。

ケース③:特定技能外国人

特定技能ですでに働いている外国人は、同じ業種であれば転職することが可能です。

次に現状考えられる求人方法を見てみましょう。

求人情報サイトへ自社の求人を掲載する

特定技能に特化した求人情報サイトがチラホラ増えてきています。こういった求人情報サイトを利用するのも1つの手だと思います。※下記の記事で特定技能に特化した求人情報サイトのまとめ一覧を紹介しています。

自社のホームページでの求人

自社のホームページに外国人向けの求人ページを作成すれば、技能実習2号を修了した外国人の方から問い合わせという流れも考えられます。
また、留学生からの問い合わせなども考えられます。

また、特定技能の特徴は「転職が可能」という点です。例えば、建設業の仕事をしている特定技能外国人が、ホームページの求人情報を見て応募してくるという流れは当然に予想されます。

ハローワークを介した応募

上記の特定技能が「転職可能」という点を考えると、今後はハローワークを介した雇用も増加すると思われます。

東京・大阪・名古屋(愛知)には、「外国人雇用サービスセンター」という機関もあります。
こういった機関も通して、留学生・技能実習生・特定技能外国人の転職などの雇用の増加が考えられます。

人材派遣会社からの紹介

特定技能の新制度ができた事により、今後外国人と企業をつなぐ人材派遣会社などが増えると予想されます。

例えば、現在海外にある技能実習生の送り出し機関が日本に事業所を設立したり、日本語学校なども特定技能の在留資格で働くことを前提とした職業紹介事業を始めることが可能です。

登録支援機関を介した雇用

外国人の支援業務を行う「登録支援機関」ですが、登録支援機関が職業紹介事業も併せて行うような登録支援機関が登場してくると予想されます。
そういった登録支援機関から特定技能で働く外国人を紹介してもらうことも可能になってくると思われます。

「特定技能雇用契約」を外国人と締結

外国人の採用が決まったら雇用契約を締結します。特定技能の在留資格で働く外国人を雇用する為には、「特定技能雇用契約」という契約が必要です。在留資格変更許可の申請前に雇用契約を交わす必要があります。

「特定技能雇用契約」は労働時間や従事する業務、報酬額など契約書に盛り込む内容が決まっています。
報酬額に関しては「日本人が従事する場合の報酬額と同等以上」で契約する必要がありますのでご注意ください。

「1号特定技能外国人支援計画」を作成

特定技能1号の在留資格へ資格変更するには、在留資格変更許可申請の際に「支援計画書」を作成して添付する必要があります。

支援計画書の内容は、この記事の最初で説明した「外国人の支援内容」に沿って作成します。
職業上・日常生活上・社会生活上、外国人が安定・円滑に過ごせるような支援が求められています。

特定技能の「在留資格変更許可申請」を行う

外国人と雇用契約を結び、支援計画書の作成などの準備が整ったら特定技能への在留資格変更許可申請を行います。
申請は、地方出入国在留管理局へ行います。手数料は「許可時に4,000円」で、申請から結果までの目安期間は「2週間~1ヵ月」です。

申請は、原則本人による申請です。
受入れ企業の担当者は、地方局長に申請等取次者として承認を受けた場合,申請
を取り次ぐことが可能です。

【外国人本人の要件】
  • 18歳以上であること
  • 技能試験及び日本語試験に合格していること(技能実習2号を良好に修了した外国人は免除)
  • 特定技能1号で通算5年以上在留していないこと
  • 保証金を徴収されていないこと又は違約金を定める契約を締結していないこと
  • 自らが負担する費用(家賃等)がある場合,内容を十分に理解していることなど

特定技能の流れ「日本にいる外国人」を受け入れ・雇用するには?のまとめ

いかがでしたか。
今後は特定技能での外国人雇用が増えることに伴い、日本企業にとっては人材確保手段としての位置づけが高くなると考えられます。

また、特定技能の在留資格の特徴である「転職可能」という点を考えると、労働条件や職場環境の整備といった企業側の努力も求めらると思われます。

特定技能制度の理解を深めて、今後の企業経営にお役立ていただければ幸いです。

特定技能の書類作成をエクセルで効率化!
Excel書式