「漁業」分野で特定技能の在留資格を持った外国人を雇用する方法を分かり易く解説しています。この記事を見れば「漁業」分野での受け入れまでの流れが理解できるような内容になっていますので、ぜひご活用下さい。

特定技能制度には、「業種共通の要件」と「業種特有の要件」が存在します。業種共通の要件とは、どの業種で雇用する場合にも適用される要件の事です。もちろん業種共通の要件はクリアしていなければ特定技能で外国人を雇う事はできません。

業種共通の要件はなんとなく分かりました。もう1つの業種特有の要件とはどんなモノですか?

特定技能で外国人を雇用できる業種は、現在14業種があります。この14業種ごとに所管省庁が決められており、業種ごとにクリアしなければならない要件が設定されています。これが「業種特有の要件」です。
この業種特有の要件を見落とさないようにしないと、せっかく在留資格の申請をしても許可がおりない事になるので注意が必要です。

なるほど。では、弊社で雇用を検討している「漁業」分野の業種特有の要件にはどんなモノがありますか?

では、「漁業」分野の業種特有の要件と、雇用までの流れを順番に説明していきます。
特定技能「漁業」分野特有の要件(受入機関)
特定技能で働く外国人を雇用する企業に求められる「漁業」分野特有の要件は以下の通りです。
派遣事業者は次のいずれかに該当し、かつ、法務大臣が適当と認めた者に限る。
①漁業又は漁業に関連する業務を行っている者。
②地方公共団体又は①に掲げる者が資本金の過半数を出資していること。
③地方公共団体の職員又は①に掲げる者若しくはその役員若しくは職員が役員であることその他地方公共団体又は①に掲げる者が業務執行に実質的に関与していると認められる者であること。
「漁業」分野で特定技能外国人を働かせてOKな業務内容
漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械操作、水産動植物の採捕、魚獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等)
養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収穫・処理、安全衛生の確保等)
※大前提として、この「主として従事させる業務」をメインで外国人にさせていないと、在留資格の取消しや、不法就労助長罪(会社等にも罰則)などのトラブルになる可能性がありますので十分注意しましょう。
①漁具・漁労機械の点検・換装
②船体の補修・清掃
③魚倉・漁具保管庫、番屋の清掃
④魚市場・陸揚港での魚獲物の選別・仕分け
⑤自家製産物の運搬・陳列・販売
※関連業務ばかりに従事させる事はNGです。
外国人は漁業又は養殖業を主体的に営む事はできません。つまり、船長や漁労長等の立場に該当する業務をさせる事はNGです。
※この業務をさせていると、他の事は守っていても取消し・罰則等の対象になりますので注意が必要です。
特定技能「漁業」分野の技能試験(外国人本人要件)
「漁業」分野で雇用する場合、外国人は「漁業技能測定試験」に合格している必要があります。※漁業技能測定試験には「漁業」と「養殖業」の2種類の試験があります。
漁業技能測定試験の「漁業」に合格した場合は、「漁業」の業務に従事できますが、「養殖業」の業務に外国人を従事させる事はできません。
特定技能「漁業技能測定試験」のスケジュール日程
漁業分野の特定技能試験の最新スケジュールは、以下の公式サイトでご覧いただけます。漁業技能測定試験を実施する団体は、「一般社団法人大日本水産会」という団体です。
特定技能「漁業」分野の技能実習生からの移行職種
在留資格「技能実習2号」を良好に修了(3年)した外国人は、上記「漁業」分野の技能試験が免除されます。※免除となる為には、技能実習時代の職種と特定技能で行う職種に「関連性が必要」です。
左が技能実習時代の作業名。これを行っていた技能実習生は、右の特定技能の職種で働く場合に限り、特定技能の試験が免除されます。
技能実習時代の作業名 | 特定技能で試験免除になる職種名 |
ほたてがい・まがき養殖 | 養殖業 |
かつお一本釣り漁業 | 漁業 |
延縄漁業 | 漁業 |
いか釣り漁業 | 漁業 |
まき網漁業 | 漁業 |
ひき網漁業 | 漁業 |
刺し網漁業 | 漁業 |
定置網漁業 | 漁業 |
かに・えびかご漁業 | 漁業 |
※技能実習時代に上記以外の作業をしていた場合は、技能実習2号を良好に修了していても「漁業」分野の技能試験は免除にはなりませんが、日本語試験は免除されます。
1号特定技能外国人の支援
特定技能の在留資格を持つ外国人を雇用する場合、「各種支援」が特定技能制度で義務付けられています。この各種支援を登録支援機関に委託せず「自社で行う場合」には、以下の自社で支援を行う場合の要件が受入れ企業に求められます。
自社で支援を行う場合の要件
※登録支援機関に支援の全部を委託した場合は、以下の受入れ企業要件は免除されます。
特定技能「漁業」分野の協議会の加入方法
「漁業」分野の協議会は、「水産庁」のホームページから申請書類がダウンロードできます。※申請書類を以下の「漁業団体」に提出する流れになります。
漁業分野の協議会の「加入要件」として、以下のいずれかの漁業団体に加入している事が必要です。
登録支援機関の加入義務:「漁業」分野の協議会は、登録支援機関の加入は「不要」です。
最後に「漁業」分野での受け入れまでの流れを確認!
【参考】業種別の「雇い方」や「特有の要件」の解説記事
業種 | 記事へのリンク |
介護 | 「介護」分野での雇い方! |
外食業 | 「外食」分野での雇い方! |
飲食料品製造業 | 「飲食料品製造」分野での雇い方! |
宿泊業 | 「宿泊」分野での雇い方! |
建設業 | 「建設」分野での雇い方! |
農業 | 「農業」分野での雇い方! |
漁業 | 「漁業」分野での雇い方! |
ビルクリーニング | 「ビルクリーニング」分野での雇い方! |
素形材産業 | 「素形材産業」分野での雇い方! |
産業機械製造業 | 「産業機械製造業」分野での雇い方! |
電気・電子情報関連産業 | 「電気・電子情報関連産業」分野での雇い方! |
自動車整備業 | 「自動車整備業」分野での雇い方! |
航空 | 「航空」分野での雇い方! |
造船・舶用工業 | 「造船・舶用工業」分野での雇い方! |