特定技能の雇用契約期間や雇用形態、賃金相場が分からないので誰かに教えてほしいな〜
特定技能の雇用契約内容について、特定技能専門の行政書士が全て教えます!わかりやすく解説しますので参考にしてください。
特定技能の申請書類をエクセルで作成!
特定技能申請に使う雇用条件書や支援計画書のExcel書式です。※ベトナム語併記の書式です。
入管庁のサイトにはWord書式しかありません。Excel書式で書類作成したい方向けです。
特定技能雇用契約とは?
特定技能雇用契約とは特定技能の在留資格で働く外国人と、外国人を雇用する企業との間で締結する雇用契約のことです。
特定技能雇用契約には契約書(雇用契約書と雇用条件)の中に記載しなければならない内容が決められています。また、入管へ特定技能の申請をする時に雇用契約書と雇用条件書のコピーを提出する必要があります。
入管に提出する雇用契約書と雇用条件書は外国人本人が十分に理解できる言語(基本的に母国語)を日本語に併記して作成し、外国人本人が内容を十分に理解した上で署名していることが必要です。
特定技能の雇用契約書(記入例)
特定技能の雇用契約書は1枚もので、企業と外国人が捺印(署名)をするだけの書類です。詳しい雇用条件は雇用条件書に記載します。
【特定技能の雇用契約書の記入例(サンプル)】
※実際には、外国人の母国語(ベトナム人ならベトナム語)を併記した書式を使用します。
特定技能の雇用条件書(記入例)
特定技能の雇用条件書は日本語だけなら3枚(外国語を併記すると5枚程度)の書式です。雇用条件書の各記載事項については後ほど詳しく解説します。
【特定技能の雇用条件書の記入例(サンプル)】
※実際には、外国人の母国語(ベトナム人ならベトナム語)を併記した書式を使用します。
【雇用条件書の1枚目】
【雇用条件書の2枚目】
【雇用条件書の3枚目】
特定技能の申請書類をエクセルで作成!
特定技能申請に使う雇用条件書や支援計画書のExcel書式です。※ベトナム語併記の書式です。
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特定技能雇用契約のQ&A
特定技能の雇用契約内容でよく質問があるものをまとめました。
特定技能の契約形態※正社員・契約社員どっち?
特定技能の雇用形態は「直接雇用」です。(農業と漁業のみ派遣雇用も可能)また、「フルタイム」での雇用が必須であり、正社員や契約社員というような分け方よりも下記の条件を満たしているのかが重要です。
労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上であること
上記を下回るアルバイトやパート的な雇用はできませんし、複数の企業が同一の特定技能外国人を雇用することはできません。
特定技能の賃金相場や最低賃金での雇用は?
特定技能の賃金相場は「近隣の同業他社」と比較して考える必要があります。(業種と都道府県などの要素で賃金相場は違います)
あくまで当事務所で受任した特定技能案件の話ですが、目安の賃金相場感の一例です。
「東京近郊の飲食店」➡基本給:20万円前後、プラスα固定残業代を設定している企業が多い
「愛知県近郊の建設業」➡基本給:25万円前後、固定残業代は設定していない企業が多い
「愛知県近郊の自動車整備」➡基本給:19万円前後、プラスα手当1万円前後(能力手当や整備手当など)
「長野県近郊の農家」➡基本給:時給1,000円※特定技能制度では自社雇用の日本人が時給制なら外国人への時給制も可能です。
【注意点】
特定技能の給料を決める時のポイントは、近隣の同業他社との比較よりも「自社で雇用している日本人の給料との比較」が重要です。
特定技能外国人を最低賃金で雇用できるかについては「結論、できる場合もある」です。ネット上で最低賃金での雇用はできないという情報も見ますが、実際に当社の案件で特定技能の許可がおりた案件は複数あります。
あくまで特定技能制度の給料決めのポイントは「日本人と同等以上かどうか」です。日本人と同等なら最低賃金での雇用もあり得ます。
特定技能雇用契約書の契約期間は?
特定技能の雇用契約期間は通常1年間にする事が多いです。理由は「特定技能の在留期間が最長1年」なのでこれに合わせるかたちで1年間とします。(労働基準法では原則最長3年間の有期労働契約が認められるため、雇用契約期間を3年とすることも可能です)
特定技能で試用期間は設定できる?
特定技能の雇用契約でも「試用期間の設定」は可能です。当社の経験上で圧倒的に多いのは「試用期間3か月」です。
ただし、自社雇用の日本人に試用期間が無いのに外国人にだけ試用期間を設定するのはNGの可能性が高いです。※あくまで特定技能制度の基準は「日本人と同等の労働条件での雇用」です。
特定技能で変形労働時間制は使える?
特定技能外国人にも変形労働時間制で働いてもらう事は可能です。ただし、同じような仕事内容の日本人従業員が変形労働時間制でない場合は認められない可能性が高いです。
なお、1年単位の変形労働時間制で特定技能外国人に働いてもらう場合は、入管への申請時に「申請人が十分に理解できる言語が併記された年間カレンダーの写し」と「1年単位の変形労働時間制に関する協定書の写し」の提出も必要です。※1か月の変形労働時間制の場合は不要。
特定技能で副業はできるか?
特定技能の在留資格は「指定書で働く会社が指定」されています。ですから、指定書に記載された会社以外で働くことはできません。つまり、特定技能の在留資格を持つ外国人は副業NGということになります。
特定技能の契約内容を変更した場合の手続きは?
入管に提出した特定技能雇用契約書および雇用条件書の内容を変更する場合は、入管への変更届が必要です。
当該変更日から14日以内に、当該機関の住所(雇用する特定技能外国人の指定書に記載の住所)を管轄する地方出入国在留管理局に届出を行わなければなりません。
出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」から引用
特定技能の申請書類をエクセルで作成!
特定技能申請に使う雇用条件書や支援計画書のExcel書式です。※ベトナム語併記の書式です。
入管庁のサイトにはWord書式しかありません。Excel書式で書類作成したい方向けです。
特定技能雇用契約書(雇用条件書)に記載する内容
さて、ここからは特定技能の雇用契約書(正しくは雇用条件書)に記載する内容について順番に解説します。
※実際には、外国人の母国語(ベトナム人ならベトナム語)を併記した書式を使用する必要があります。
雇用契約期間
【👇雇用条件書のこの部分】
特定技能の雇用契約期間は通常1年間にする事が多いです。理由は「特定技能の在留期間が最長1年」なのでこれに合わせるかたちで1年間とします。(労働基準法では原則最長3年間の有期労働契約が認められるため、雇用契約期間を3年とすることも可能です)
従事する業務内容
【👇雇用条件書のこの部分】
特定技能の分野と業務区分を入力します。参考例として下記のような記載になります。
【介護】の場合➡分野は「介護分野」、業務区分は「身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)」と記載
【建設】の場合➡分野は「建設分野」、業務区分は「土木」や「建築」や「土木および建築」と記載※建設分野は人により「土木および建築」のように複数の業務区分の仕事が可能
【農業】の場合➡分野は「農業分野」、業務区分は「耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)」か「畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)」と記載
【食品製造】の場合➡分野は「飲食料品製造業」、業務区分は「飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く。)の製造・加工、安全衛生)」と記載
【外食】の場合➡分野は「外食業分野」、業務区分は「外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)」と記載
所定労働時間に関するもの
【👇雇用条件書のこの部分】
「3.所定労働時間数」や「4.所定労働日数」は会社の就業規則等で定められている条件を記載します。就業規則が無い(就業規則の作成義務が無い)場合は、ここに記載した条件(所定労働時間数など)が確定条件となります。
ポイントは、自社で雇用しているフルタイムで働く日本人(一般的には正社員のイメージ)と同条件にする必要がある点です。
特定技能外国人の所定労働時間は、特定技能所属機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であることを求めるものです。
「所定労働時間」とは、雇用契約や就業規則で定められた労働時間(休憩時間は含まない。)をいいます。なお、特定技能所属機関が就業規則を作成している場合は、当該就業規則に定められたものをいいます。
「通常の労働者」とは、いわゆる「フルタイム」で雇用される一般の労働者をいい、アルバイトやパートタイム労働者は含まれません。
本制度における「フルタイム」とは、原則、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上であることをいいます。
特定技能外国人はフルタイムで業務に従事することが求められることから、複数の企業が同一の特定技能外国人を雇用することはできません。
出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」から引用
休暇等
【👇雇用条件書のこの部分】
労働基準法で決まっている「6か月継続勤務した場合→10日」は必須の記載事項です。その他の休暇については就業規則どおりに記載します。
また、「3.一時帰国休暇」に記載されている「乙が一時帰国を希望した場合は、上記1及び2の範囲内で必要な休暇を取得させることとする。」という文言は必須の記載項目です。※特定技能制度で義務付けられたものです。
受入れ企業は、特定技能外国人から一時帰国の申出があった場合は、事業の適正な運営を妨げる場合等業務上やむを得ない事情がある場合を除き、何らかの有給の休暇を取得することができるよう配慮を求めるものです。
例えば、既に労働基準法上の年次有給休暇を全て取得した特定技能外国人から、一時帰国を希望する申出があった場合にも、追加的な有給休暇の取得や無給休暇を取得することができるよう配慮することが望まれます。「有給休暇」とは、労働基準法第39条に定める年次有給休暇を含む一般の有給休暇をいいます。
「業務上やむを得ない事情」とは、特定技能外国人が担当する業務が他の労働者が代替することが不可能な業務であって、休暇取得希望日に当該外国人が業務に従事しなければならないことについて合理的な理由がある場合をいいます。
特定技能外国人から一時帰国の申出があった場合は、必要な有給又は無給休暇を取得させることを特定技能雇用契約で定めることとしてください。
特定技能外国人が一時帰国のために休暇を取得したことを理由に、就労上の不利益な扱いをしていることが判明した場合は、本基準に不適合となることもあり得ますので、留意してください。
業務上やむを得ない事情により、一時帰国休暇の取得を認めない場合は、代替日を提案するなどの配慮をするよう留意してください。
特定技能外国人の家族が「短期滞在」で来日した場合には、家族と過ごす時間を確保することができるようにするため、家族の滞在中は有給休暇を取得することができるよう、配慮しなければなりません。
出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」から引用
給料(賃金)に関するもの
【👇雇用条件書のこの部分】
【大前提】
賃金(給料)・昇給・賞与・退職金・その他の労働条件は、同等の業務に従事する日本人労働者の労働条件と同等以上である必要があります。
賃金(給料)については、外国人と「経験年数・業務内容・役職が同程度の日本人社員」を同じぐらいの給料にしてくださいねということです。※技能実習2号(3年間)を修了した外国人の場合は、経験年数を3年とカウントして給料を決める必要があります。
給料を比較できそうな日本人がいない(小規模な企業で外国人以外は店長しかいない場合等)は、この店長との給料差を合理的に説明する必要があります。例えば、店長という役職があること、それに伴う業務範囲の違い、外国人にも昇給制度があることなどを整理して説明文を作ります。(説明文は「特定技能外国人の報酬に関する説明書」という別の書類があり、そこで説明します)
福利厚生、健康診断に関するもの
【👇雇用条件書のこの部分】
「厚生年金・健康保険・雇用保険・労災保険」については、特定技能外国人についても加入が必要です。(小規模な個人事業主の場合の社会保険加入は例外あり)
また、健康診断については1年以内ごとに1回受診をさせる必要が雇用主にはあります。(労働安全衛生法)。なお、深夜勤務(22:00以降)が週に1回以上又は1か月に4回以上ある場合などは、6か月以内ごとに1回健康診断を受診させる必要があります。
帰国担保措置に関するもの
【👇雇用条件書のこの部分】
外国人の署名欄上に記載されている「4.本契約終了後に乙が帰国するに当たり、乙が帰国旅費を負担することができないときは、甲が当該旅費を負担するとともに、帰国が円滑になされるよう必要な措置を講じることとする。」という文言は必須の記載項目です。※特定技能制度で義務付けられたものです。
特定技能外国人が特定技能雇用契約の終了後に帰国する際の帰国費用については本人負担が原則となりますが、当該外国人がその帰国費用を負担することができ ない場合は、受入れ企業が帰国費用を負担するとともに、出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることを求めるものです。
「旅費を負担することができないとき」とは、特定技能外国人が自ら帰国費用を負担することができない場合をいい、帰国することとなった原因(行方不明となった場合を除く。)を問いません。
出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」から引用
「必要な措置」とは、帰国旅費を負担することのほか、帰国のための航空券の予約及び購入、帰国するまでに必要に応じて行うべき生活支援を含む措置を講ずることをいいます。
特定技能所属機関は、経営上の都合等により帰国費用を負担することが困難となった場合に備えて第三者(登録支援機関や関連企業等)と協定を結ぶなどしておくことが望まれます。
帰国旅費を確保しておくために、特定技能外国人の報酬から控除するなどして積み立てて特定所属機関が管理することは、金銭その他の財産の管理に当たり得るものであることから、認められません。
特定技能の申請書類をエクセルで作成!
特定技能申請に使う雇用条件書や支援計画書のExcel書式です。※ベトナム語併記の書式です。
入管庁のサイトにはWord書式しかありません。Excel書式で書類作成したい方向けです。