この記事では、就労ビザの一つである「企業内転勤」について解説しています。在留資格(ビザ)の要件や入管への提出書類、その他の注意点など、ポイントごとに説明していきます。
(在留資格については「在留資格の種類やビザとの違い」をご覧ください。)
「企業内転勤」とは?どんな在留資格(ビザ)?
☑ポイント①:企業内転勤の在留資格は一言でいうと、海外の事業所から日本の事業所に転勤するときに取得する在留資格(ビザ)です。外国にある本店・支店などの関連会社から、日本国内にある本店・支店などへの転勤が含まれます。
☑ポイント②:転勤者が日本企業で行う職種には制限があり、「技術・人文知識・国際業務」という在留資格(ビザ)の該当職種に限られます。
☑ポイント③:転勤元(外国)の関連会社で、1年以上は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する業務実績が必要です。
☑ポイント④:転勤先(国内)での報酬が、日本人が勤務する場合と同等の報酬を転勤者(外国人)に支払う必要があります。
企業内転勤の在留資格は上記のような特徴があります。次からは、「企業内転勤」の要件を個別に解説していきます。
企業内転勤以外の就労可能な在留資格
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要件①:在留資格「企業内転勤」が可能な関連会社(異動の範囲)
外国にある子会社や関連会社からの転勤のうち、どこまでの範囲が該当するのでしょうか?「入管法」には以下のように書かれています。
「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」
マーカー部分の「外国にある事業所」だけではイメージが難しいと思います。具体的には以下の範囲の異動が該当します。
☑本店(社)と支店(社)・営業所間の異動
☑親会社・子会社間の異動
☑親会社・孫会社間及び、子会社・孫会社間の異動
☑子会社間の異動
☑孫会社間の異動
☑関連会社への異動(親会社と関連会社、子会社と子会社の関連会社間のみ)
なお、「親会社」「子会社」「関連会社」の定義は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の第8条に定義されています。
在留資格(ビザ)企業内転勤の期間は?
「企業内転勤」の在留資格(ビザ)で日本に滞在できる期間については、「入管法」には以下のように書かれています。
「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」
要約すると、日本での勤務が「一定期間に限られていること」を意味しています。期間を限定せずに日本で勤務することはできません。具体的には、「3ヵ月」・「1年」・「3年」・「5年」で申請をすることになります。
企業内転勤の在留資格(ビザ)で認められる業務内容
企業内転勤の在留資格で認められる業務内容ですが、「入管法」には以下のように書かれています。
「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」
転勤前と転勤後の両方において、技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)で要求されている業務に従事する必要があります。従って、転勤後に単純労働に従事するような場合には企業内転勤ビザは認められません。
企業内転勤の在留資格(ビザ)で申請に必要な学歴や職歴は?
「企業内転勤」の在留資格(ビザ)申請に必要な職歴ですが、「入管法の基準省令」には以下のように書かれています。
申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる業務に従事している場合で、その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国に当該事業所のある公私の機関の本邦にある事業所において業務に従事していた期間がある場合には、当該期間を合算した期間)が継続して一年以上あること。
要約すると、1年以上は転勤前の会社で業務経験が必要になります。企業内転勤の在留資格申請では、大学卒の学歴要件や、10年以上の実務経験といった要件は必須ではありません。
企業内転勤の在留資格(ビザ)の申請に必要な転勤者の給与について
「企業内転勤」の在留資格(ビザ)申請に必要な転勤者の給与について、「入管法の基準省令」には以下のように書かれています。
「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。」
「日本人と同等以上の報酬」については、例えば外国人が勤務する会社において、同等の地位・能力・経験を有する日本人と比較して、外国人の給与等が安くないか等で判断されます。
企業内転勤のビザ申請の提出書類「在留資格認定証明書交付申請の場合」
在留資格決定の場合(在留資格認定証明書交付申請)
☑(1)外国の事務所と本邦の事業所の関係を示す文書(登記簿謄本、事業開始の届出等で、我が国の事業所と外国の事業所との関係を証するもの)
☑(2)本邦の事業所の商業・法人登記簿謄本、損益計算書の写し及び事業内容を明らかにする資料
☑(3)外国の事業所における職務内容及び勤務期間を証する文書。(外国の事業所からの在職証明書等で、転勤前1年間に従事した職務内容及び勤務期間を証するもの)
☑(4)外国の事業所の概要を明らかにする資料として商業・法人登記簿謄本、直近の損益計算書の写し、会社案内書等
☑(5)活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書
※次のいずれか一又は複数の文書で活動の内容、期間、地位及び報酬の記載のあるもの
①転勤命令書の写し
②受入機関からの辞令の写し
③①ないし②に準ずる文書
☑(6)経歴を証する文書(履歴書など)
【在留資格認定証明書申請】の具体的な提出書類
外国人本人が用意する書類
☑1.パスポートのコピー(名前、写真の記載されているページ)※まだ発行されていないのであれば提出不要
☑2.写真1枚(縦4CMX横3CM)
☑3.RESUME(履歴書、学歴と職歴を簡単に記載)
同行家族がある場合は同行家族の下記書類
☑1.パスポートのコピー(名前、生年月日、写真の載っているページ)
☑2.写真1枚(縦4CMX横3CM)
☑3.配偶者は結婚証明書(夫婦の名前、生年月日が記載されていること)。子供は出生証明書(両親名が記載されていること)
派遣元会社にて用意する書類
☑1.派遣命令書(名前、生年月日、入社年月、日本の派遣先、派遣期間を記載)
☑2.在職証明書(名前、生年月日、入社年月、現在の部署名、役職、簡単な職務内容を記載)
☑3.会社パンフレット
受け入れ会社にて用意する書類
☑1.会社登記事項証明書
☑2.直近の決算報告書(貸借対照表、損益計算書)のコピー
☑3.入国理由書(外国人本人の履歴、日本での部署、役職及び職務の内容等の記載が必要)
☑4.日本人と同等額以上の報酬を受けることを証明する書類
☑5.派遣元会社との関係(資本もしくは取引等)を立証する書類
☑6.直近の従業員の源泉徴収簿のコピー
その他
1.在留資格認定証明書交付申請書
※追完書類を要求される場合も多々あります。ケースバイケースですので、あくまでも参考として下さい。
当事務所に御依頼いただいた場合は、その時の最新情報に基づいて必要書類を御案内いたします。
企業内転勤のビザ申請の提出書類「在留資格更新の場合」
在留期間更新の場合
☑①活動の内容、残任期間及び地位を証する文書(活動の内容、残任期間及び地位を記載した在職証明書等で、申請人が現に当該機関に所属していることを証するもの)
☑②年間の収入及び納税額に関する証明書(住民税又は所得税の納税証明書、源泉徴収票、確定申告書の写し等のいずれかで、年間の所得及び納税額を証するもの)
まとめ
いかがでしたでしょうか?この記事で「企業内転勤」の在留資格について、ご理解いただけましたら幸いです。