登録支援機関の役割や登録支援機関が行う支援内容、監理団体や人材紹介会社との違いなどを分かり易く解説しています。また、登録支援機関の登録を受ける為の要件や、申請に必要な書類についても解説しています。
【特定技能】登録支援機関とは
特定技能1号という在留資格(ビザ)を持って働く外国人を雇用する企業には、この「外国人を職業生活上や日常生活上で支援する義務」があります。この各種支援業務は、言語面や人員面から自社で行える受入れ企業と自社では行えない受入れ企業とに分かれます。
受入れ企業が自社で支援を行う為の要件として、「外国人が十分に理解できる言語で支援を実施できる体制があること」というものがあります。例えば、ベトナム人を雇用する場合は、基本的にベトナム語を話せる職員が受入れ企業にいる必要があります。(※外国人が日本語を十分理解できる人である場合等は不要)
このような、「支援体制が確保できない受入れ企業の代わりに支援業務を行う機関」が登録支援機関です。この場合は、受入れ企業と登録支援機関が事前に支援委託契約を締結します。そして、支援業務を代わりに行ってもらう対価として、受入れ企業が支援委託費用を登録支援機関に支払います。
登録支援機関と監理団体の違い
外国人の在留資格関係で登場する機関(団体)で混同しがちなものとして、登録支援機関と監理団体があります。両者は、そもそも対象としている在留資格制度が違います。
まず、「登録支援機関」は特定技能制度で登場する機関です。上記で説明したように、特定技能1号の在留資格(ビザ)を持って働く外国人への各種支援を、受入れ企業に代わって行う機関が登録支援機関です。
次に、「監理団体」は技能実習制度で登場する団体です。一般的なのは、事業協同組合という団体が監理団体の許可を受けて運営しています。技能実習という在留資格(ビザ)で実習を受ける外国人の支援を行ったり、技能実習生を受入れる企業への訪問指導や監査を行う団体が監理団体です。
登録支援機関と人材紹介会社の違い
登録支援機関として登録しただけでは、特定技能で働く外国人の人材紹介事業はできません。登録支援機関はあくまで「1号特定技能外国人の支援業務」を行う機関です。
一方、人材紹介会社は、職業紹介事業の許可を受けて求職者と企業間の雇用関係成立をあっせんする会社です。もちろん、特定技能で働く外国人を企業に紹介するという事業も行うことができます。
つまり、登録支援機関が特定技能で働く外国人の人材紹介事業も行う場合は、登録支援機関の登録とは別に、「厚生労働大臣による有料職業紹介事業の許可」を得る必要があります。
【特定技能】登録支援機関の役割(サポート業務)

次に、登録支援機関の役割(登録支援機関が行えるサポート業務)を深掘り解説します。登録支援機関が行える業務は、「1号特定技能外国人の支援」「特定技能ビザの申請取次」の2種類です。以下でそれぞれの業務を細かく説明します。
登録支援機関が行う支援内容
登録支援機関のメイン業務である「1号特定技能外国人の支援」ですが、実際に行う具体的な支援内容は以下の通りです。
1号特定技能外国人に行う支援内容の詳細は、法務省のホームページの「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」に詳しく記載されています。
登録支援機関による特定技能の申請取次
登録支援機関の職員が在留資格「特定技能」の申請取次を行うには、事前に地方出入国在留管理局(入管)に申出をして、登録支援機関としての「申請等取次者証明書」の交付を受ける必要があります。
また、登録支援機関の職員が申請取次可能な在留資格は「特定技能1号」の在留資格に限定されており、それ以外の在留資格については申請取次ができない点に注意が必要です。
登録支援機関による申請書類の作成はNGです。
在留資格「特定技能」の在留資格申請には、かなりの数の書類作成が必要です。一例として、「申請書」「特定技能所属機関概要書」「1号特定技能支援計画書」「特定技能雇用契約書」「雇用条件書」「特定技能外国人の報酬に関する説明書」「支払い費用の同意書及び説明書」といった書類の作成が必要です。
ここで注意が必要なのが、「登録支援機関は上記の書類作成をすることはNG」な点です。つまり、特定技能の在留資格申請に関する書類は、受入れ企業の担当者が作成するか、難しければ行政書士に依頼するかのどちらかになります。
登録支援機関が行える業務はあくまでも、作成された申請書類一式を入管へ提出する(申請取次)という工程のみということです。(書類作成の為のアドバイスはOKです)
登録支援機関への委託費用
受入れ企業が1号特定技能外国人の支援業務を登録支援機関に委託する費用は登録支援機関によって金額が違いますが、相場は月額3万円前後(1人あたり)程度です。これとは別に、入出国時の飛行場への送迎については、別料金を設定している登録支援機関もチラホラあるようです。
登録支援機関の一覧
登録支援機関の登録を受けている機関の一覧表は、法務省のホームページで公開されています。一覧表はエクセル形式でもダウンロード可能です。登録支援機関を探す場合は、オートフィルタを使って都道府県別で絞ったり、対応可能言語で絞って探すと便利に使うことができます。
登録支援機関の協議会加入義務について
特定技能制度では、14業種で外国人の雇用が可能です。この14業種の中には、登録支援機関にも協議会への加入義務を設けている業種があります。該当する業種で1号特定技能外国人の支援を登録支援機関に依頼する場合は、その業種の協議会に加入している登録支援機関を探す必要があります。
登録支援機関にも協議会の加入を義務付けている業種の一覧は、以下の関連記事で詳しく紹介しています。
【登録支援機関】登録申請の要件

ここからは、登録支援機関として登録を受ける事を検討されている方向けに、登録申請の要件や必要書類を順番に解説しています。以下の「13の登録拒否事由」に該当しなければ、登録支援機関の登録が許可されます。
※登録拒否事由の詳細は、法務省のホームページの「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」に詳しく記載されています。
【登録支援機関】支援責任者と支援担当者の要件
上記「登録拒否事由」にあるとおり、登録支援機関では「支援責任者と支援担当者」を選任する必要があります。支援責任者と支援担当者に選任できる人の要件は以下の通りです。
【支援責任者】:役員又は職員の中から選任(常勤でなくてもOK)。支援責任者は支援担当者を監督する立場である為、ある程度の役職者(課長等)を選任する方がよさそうです。
【支援担当者】:役員又は職員の中から選任(常勤が望ましい)。支援を行う事務所ごとに1名以上必要。
※支援責任者と支援担当者は同一人物でもOKです。その場合は両方の要件を満たしている必要があります。(例:支援を行う事務所に常勤の課長職の人などが該当します)
【登録支援機関】登録申請の必要書類
登録支援機関の登録申請をする際に提出する必要書類は以下の通りです。
【登録支援機関】登録申請の費用
登録支援機関の登録費用は、入管への手数料が28,400円となっています。手続等で不安がある場合は、当事務所で代理申請も可能です。当事務所での申請費用は以下の通りです。
入管への申請まで | 申請書類の作成まで |
100,000円(消費税別) | 70,000円(消費税別) |
当事務所にご依頼・ご相談のお客様は、電話かメールにてお気軽にご連絡ください。
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登録支援機関の届出義務について
登録支援機関は登録後も各種届出が必要です。届出を怠ると、登録の取消しになる場合もありますので、注意が必要です。届出の内容は以下の通りです。
登録事項変更に係る届出書
登録事項のいずれかに変更があった場合に届出が必要。
※氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、代表者の氏名の変更があった場合、登記事項証明書(法人の場合)、住民票の写し(個人の場合)を添付すること。
【期限】:事由発生後14日以内
支援業務の休止又は廃止に係る届出書
支援業務を休止し、又は廃止した場合に届出が必要。
※支援業務の一部を休止又は廃止した場合、登録事項変更に係る届出も必要。
【期限】:事由発生後14日以内
支援業務の再開に係る届出書
支援業務の休止の届出を行った者が支援業務を再開する場合に届出が必要。
※支援業務の休止理由が、支援業務を的確に遂行するために必要な体制が整備されていないためである場合、支援体制が確保されていることについての立証資料を添付すること。
【期限】:再開予定日の1か月前
支援計画の実施状況に関する届出
特定技能所属機関から委託を受けた1号特定技能外国人支援計画の実施状況について、四半期ごとに定期の届出が必要。
※届出対象期間内に支援対象者が存在しない場合であっても、その旨届出を行う必要あり。
※支援計画に変更があった場合、受入れ機関からの支援計画変更に係る届出も必要。
※非自発的離職者を発生させた場合、受入れ機関からの受入れ困難に係る届出も必要。