この記事では、永住者と特別永住者・永住者と定住者・永住者と帰化の違いについてそれぞれ比較解説しています。
よく似た言葉でイマイチ違いが分からないという方は、この記事を読めばそれぞれの違いが理解できます。
在留資格「永住者」とは
在留資格「永住者」とは、在留活動や在留期間の制限を受けない在留資格です。
永住者の在留資格を与える権限は法務大臣にあり、永住者への在留資格変更も在留資格変更許可申請の一種と言えます。
永住者は他の在留資格と比べて大幅に在留管理が緩和されるため、他の在留資格よりも厳しく審査をする必要があります。このため、一般の在留資格変更手続きとは独立した別の規定が設けられています。
永住者の在留資格を取得する条件やメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。
≫日本の永住権を取得する条件やメリット【わかりやすい完全ガイド】
永住者と特別永住者の違い
永住者と似た言葉で特別永住者という在留資格があります。両者の違いには以下のようなものがあります。
在留者数の比較
永住者と特別永住者の在留者数の推移は以下の通りです。
年度 | 永住者数 | 特別永住者数 |
---|---|---|
令和元年度末 | 793,164 | 312,501 |
平成30年度末 | 771,568 | 321,416 |
平成29年度末 | 749,191 | 329,822 |
平成28年度末 | 727,111 | 338,950 |
平成27年度末 | 700,500 | 348,626 |
根拠となる法律が違う
永住者は「出入国管理及び難民認定法」で定められた在留資格です。
特別永住者は「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」で定められた在留資格です。
特別永住者の対象者は、「第二次世界大戦前から引き続き日本に住んでいる在日韓国人・朝鮮人・台湾人、及びその子孫」です。
在留カードの有無
永住者は在留カードを持っており、永住者には在留カードの常時携帯義務があります。
特別永住者は在留カードの代わりに「特別永住者証明書」を持っており、この特別永住者証明書は常時携帯する義務がありません。
国会の審議における課程で、「特別永住者に係る歴史的経緯等に鑑み、特別の配慮が必要」という理由で、特別永住者には特別永住者証明書の携帯義務がありません。
特別永住者証明書の見た目は在留カードとよく似ています。
外国人雇用状況届出の要否
外国人を雇用する全ての事業主には、外国人の雇用時と離職時に外国人の氏名等の決められた事項をハローワークへ届け出る義務があります。
永住者の在留資格を持つ外国人を雇用する場合はこの届出を行う必要があります。
特別永住者を雇用する場合はこの届出制度は対象外となり届出は不要です。
永住者と定住者の違い
永住者と定住者もよく似た言葉で、どう違うのかという質問をしばしば受けます。両者の違いには以下のようなものがあります。
在留者数の比較
永住者と定住者の在留者数の推移は以下の通りです。
年度 | 永住者数 | 定住者 |
---|---|---|
令和元年度末 | 793,164 | 204,787 |
平成30年度末 | 771,568 | 192,014 |
平成29年度末 | 749,191 | 179,834 |
平成28年度末 | 727,111 | 168,830 |
平成27年度末 | 700,500 | 161,532 |
永住者と定住者の基本情報
永住者も定住者も「出入国管理及び難民認定法」で定められた在留資格です。
永住者の審査基準については「ガイドライン」があるのに対し、定住者は出入国管理及び難民認定法に基づく「法務省告示」で該当する人が指定されています。
定住者の法務省告示で指定されている該当者には、「日系人やその配偶者、定住者の実子、日本人や永住者の配偶者の実子(いわゆる連れ子)など」があります。
また、定住者は法務省告示に該当しない人でも、法務大臣の裁量で在留資格が与えられる場合もあります。例えば、日本人や永住者と結婚していた外国人が、離婚や死別で配偶者の地位を失った場合などが該当します。
参考までに、永住者と定住者で共通するものも紹介します。
- 就労活動の制限がない。
- 再入国許可は必要。
- 退去強制の対象。
- 参政権はない。
在留活動と在留期間の制限
永住者は在留活動や在留期間の制限を受けない在留資格であるのに対し、定住者は在留活動の制限は受けませんが在留期間の制限は受ける在留資格です。
つまり、定住者は永住者と同じく適法な限りどんな仕事でもできますが、永住者と違い定住者には1年や3年といった在留期間があります。ですから、定住者は在留期間に合わせて在留期間更新を行う必要があります。
参考までに、永住者には在留期間の制限を受けないと解説しましたが、永住者が持つ在留カードには有効期間があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
≫【永住ビザ更新】7年ごとに在留カード更新が必要!【必要書類あり】
社会的信用度の違い
永住者と定住者を比較すると社会的な信用度は永住者の方が高いため、住宅ローンを借りる場合や事業融資を受けやすいといった違いがあります。また、職場での待遇面でも長期雇用が見込める永住者の方が有利になる場合もあります。
ちなみに、参政権については永住者にも定住者にもありません。
永住者と帰化の違い
日本に長く住んでいる外国人の方が、どちらを申請するかで迷う永住者と帰化の違いについて解説します。
永住者と帰化の基本情報
永住者も帰化も就労制限と在留期間の制限が無い点は同じです。
ただし、永住者はあくまで「外国人」のまま日本に在留するだけですが、帰化は「日本人」として日本で暮らすことになります。
帰化は「日本人」ですから、永住者には無い「日本の参政権」を得ることになります。また、永住者は犯罪などで本国に退去強制される場合がありますが、帰化の場合は退去強制は無く日本国内で刑法等により処罰されることになります。
申請先や申請条件の違い
永住は出入国在留管理局へ申請しますが、帰化は法務局へ申請します。
永住は日本に引き続き10年以上在留すれば申請できるのに対して、帰化は日本に引き続き5年以上在留すれば申請できます。
上記の在留年数の条件は、永住と帰化共に日本人の配偶者の場合などは年数が短くなる緩和条件があります。(永住については以下の記事で条件などを詳しく解説しています。)
≫日本の永住権を取得する条件やメリット【わかりやすい完全ガイド】
日本から海外に行く時の違い
永住者が日本から海外へ旅行などに行く場合は再入国許可やみなし再入国許可といった手続きが必要ですが、帰化の場合は手続き不要です。
また、帰化すると日本のパスポートを持てるので、海外旅行などの場合に多くの国へビザ無しで行けるというメリットもあります。
まとめ
永住者と特別永住者・永住者と定住者・永住者と帰化の違いについてそれぞれ解説しました。永住者についてはこのサイトの別記事でも色々解説記事を書いていますので、興味があれば参考にしてください。